秋山実「千代鶴是秀写真集』

 写真集『千代鶴是秀」の紹介木工に携わっている人なら一度は耳にしたであろう伝説の鍛冶千代鶴是秀の木工道具の写真集です。その人となりは白崎秀雄著『千代鶴是秀』講談社刊を読まれる事をお勧めします。 私は道具は飾り物ではなく使いきってこそ道具の使命と思っていますので、この写真集の中表紙の写真がまさしく、私の理想とする道具使い、つまり研ぎ減らされた叩きノミ。それも律儀な研ぎ方で凛とした姿に良い物を沢山生み出したのだろうと想像される道具で、背筋がピンとさせられる写真でした。生み手と使い手のせめぎ合いが語りかけてくる奥深い写真集です。折り返しの作家紹介にはこうあります。 写真家の秋山実が30年以上かけ撮影した大工道具の数々。それらは、千代鶴是秀を中心とした、日本の傑作手道具である。機能を追求した上ではじめて立ちあらわれる、洗練された姿が内包する豊潤かつ清冽な世界が今、再び我々の眼前に広がってくる。とあります。 実は、写真家秋山実は私の写真の師匠で、卒業後すぐに弟子入りさせて頂き写真のみならず様々な事を教えて頂き、それは今の木工の仕事にも生かせています。この写真集は師からの進呈で、愚弟を何時までも気に懸けて下さっていることに深く感謝しています。 秋山実写真『千代鶴是秀写真集』ワールドフォトプレス刊 ¥1905