道具考-3

 このノミは今から20数年前に購入したもので、デパートのバーゲン品で山積みになっていたセットものです。どちらかと言えばそれほど品質の良い道具ではありませんが衝動買いと言いましょうか明確な目的もなく買ってしまったノミです。日本製なのですが、柄の頭にある鉄輪がない西洋ノミ仕様できっと輸出用なのでしょう。 写真上の刃幅10mmがノーマルな状態に近い長さ、下が20mmでかなり研ぎ減っています。と言うことは結構使った事なのです。もちろん、日本の叩きノミも使いますが、私はカスタムナイフ初めカンナなども洋刃ものを使う事が多いのです。 これは使用する材に関係する事で、主材が北米産オークですから洋刃との相性が良く、洋材には洋刃でと言う事でしょうか。スギ、ヒノキ等用いる工作には日本の刃物が相性良いのは言うまでもありません。 洋刃と日本の刃物の違いは、日本の物は鋼と軟鉄の組み合わせで刃裏に裏すきと言う凹面加工が施されて繊細な刃物に仕上げてあります。 一方洋物の刃は鋼のみのベタ裏で一枚刃仕上げになっています。どちらかと言えば、洋刃の方が乱暴に扱ってもへこたれない打たれ強い性格です。そこも気に入ってるところなのかもしれません。 バーゲン品で変な道具を買ってしまったと思っていたのですが、いつの間にかここまで研ぎ減らすまで使っていたのです。高価な道具が良い作品を生む訳ではなく、安価な道具でも工夫していかに使いこなすかが問題なのだと思います。 ここまで短くなると使用時のバランスが若干悪くなって来ましたがまだまだ現役です。どことなく我が身を見るようで愛しく感じます。