ツララで思い出した事

このところの好天で屋根の雪はどんどん融け、軒にはツララが大きく成長します。あまり巨大になると、あの下を通っていて折れたら凶器だな、なんて思うと不気味な光景になりますが、ほどほどの大きさから規則正しく時を刻むように落下する雫を見ているのは心静まります。 高速シャッターで撮影すると、雫はツララの先端から切り離された瞬間に奇麗な球になって落下して行く事を教えてくれます。その水球を見ていて、昔の仕事を思い出してしまいました。 パンフレットの表紙写真で、水面に雫を落下させてその跳ね返りが球になる現象のショットが欲しいとの依頼があり、大苦労した時の事です。当時(30年程前)はフイルムISO感度が低くストロボの性能も良くなくて、それに現像が上がるまで写っているのか確認出来ません。 何度撮影しても跳ね返りの球がブレてしまって使用に耐えません。跳ね返った球は、上昇し終わり引力に引き戻される瞬間停止する訳ですから、動体視力と反射神経が優れていれば必ず撮れるはずと1カットのために連日スポイトから水を落としてシャッターをきりました。その結果、下の写真が表紙に使用されたカットです。嬉しかったです。たとえその1カットがまぐれ中のまぐれだったのだとしても。