古きピッケル

 積雪があると、屋根の雪は昼間融けて軒からツララになり、切先から雫となって落ち、それは夜テラテラに凍りつきます。我が家の玄関前は毎朝氷で盛り上がっており、とても危険な状態になってしまいます。 毎朝出かける前にスコップやツルハシで割取るのですがこれがなかなか大変な作業となります。フッとピッケルの存在を思い出し、物置から引っ張り出して、試しに使ってみるとこれが思いがけず威力がある事が判明、軽いし食い込みが良いし楽々氷撤去となり古きピッケルも第二の働き場を与えられたと言う訳です。彼自身も物置の奥に居るよりは嬉しいはずです。 ある事がきっかけでプッツリやめてしまった冬山なのですが、こうして玄関前の氷に向かって打ち下ろす一撃々は、様々な情景が思い出され、若き力が湧いて来るかのような錯覚に捕われ、ついやり過ぎてしまうのは困りものです。 何度となく危険回避に力を貸してくれたにもかかわらず、なんと言う恩知らず今やブレードは錆びだらけ、お詫びとこれからの氷割りの活躍を願って輝きが蘇るよう磨ぎ上げてお手入れする事にしましよう。